栄養
子どもの健やかな成長に、栄養は欠かすことができません。適切でバランスのとれた栄養が、心身の発達を支えます。
栄養不良の子どもは、病気にかかりやすくなり、命をうしなうことさえあります。子どものころに日常的に栄養が不足したため、脳や身体の発達が遅れると、成長した後も影響がでることがあります。ユニセフは、人生の最良のスタートを切れるよう、子どもや妊娠中の母親に対する栄養支援に力を注いでいます。
ミラクルフード 栄養治療食

エチオピアの保健センターで急性栄養不良と診断されたエマニュエルくん。ピーナッツなどを原料にしたペースト状の栄養治療食を食べています。高カロリーでタンパク質やビタミンも豊富な栄養治療食は、袋のはしをちぎれば、その場ですぐに食べられます。弱っていた子どもがみるみる回復していくことから「ミラクルフード」と呼ばれ、ユニセフの栄養支援で広く活用されています。

© UNICEF/UN0495650/Sewunet 、© UNICEF/UN0495659/Sewunet
ビタミンAのしずく 微量栄養素

子どもの健やかな成長に、ビタミンやミネラルなどの「微量栄養素」は欠かすことができません。アフガニスタンのザウラくんが飲んでいるのは、赤いカプセルに入ったビタミンA。ビタミンAが不足すると、目が見えなくなったり、病気にかかりやすくなったりします。ユニセフは栄養支援として微量栄養素のサプリメントを提供しています。年に2回、このしずくを飲むだけで、子どもたちはビタミンA欠乏症から守られるのです。

© UNICEF/UN0648211/Bidel、© UNICEF/UN0648215/Bidel
発育阻害から子どもを守る 最初の1000日

日常的に栄養が不足して、身長が同年代の子どもの平均と比べて明らかに低くなってしまっている状態を発育阻害と呼びます。この発育阻害から子どもを守るため、ユニセフは、母親のおなかにいるときから2歳になるまでのあいだに重点的に栄養支援をする「最初の1000日」活動に力を入れています。ザンビアの保健員ノマコルさんは、発育阻害を予防するため、定期的に村々を訪ね、母親たちに栄養の知識を伝えています。

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母親へのサポート 母乳育児の推進

母乳は、赤ちゃんにとって理想的な食べ物です。必要な栄養をバランスよくとれるだけでなく、さまざまな病気にかかりにくくなります。また、授乳のときに母子がふれあうことで精神的な発達にも良いと言われています。一方で、母乳育児は必ずしも簡単なことではありません。ユニセフは、母親たちに母乳育児の大切さを伝え、母親が相談しやすい環境をつくるなど、さまざまなサポートを進めています。

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栄養不良を見つけ出す 発育観察

生まれてから少なくとも3年間、赤ちゃんの身長と体重を毎月測って記録することを発育観察と言います。発育観察は栄養がじゅうぶんとれているかを調べるもっとも簡単で正確な方法です。もし、何カ月か続けて体重が減っていたりしたら、病気や栄養の問題がないか、医師にみてもらったり、食事を改善したりして対策をとります。この発育観察をおこなっているのが、保健センターです。ユニセフは、保健センターの体制を整え、体重計や上腕計測メジャーなども提供。どんな場所でも、子どもたちが発育観察を受けられるように支援をおこなっています。
© UNICEF/UN0471303/
学校で栄養を支える 学校給食

学校給食は、子どもたちの毎日の栄養を支える生命線になります。食事を提供することで家庭の負担も減り、学校に子どもたちが通い続けられるきっかけにもなります。「給食があるなら学校に通わせよう」と保護者が思うようになるからです。日本も戦後、給食のミルクとして、脱脂粉乳の支援をユニセフから受けていました。ユニセフは、各国の学校給食プログラムを支え、子どもたちに栄養価の高い食事を提供しています。

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