教育

子どもは教育を受ける権利をもっています。すべての子どもが小学校に行けるようにしなければなりません。さらに上の学校に進みたいときには、みんなにそのチャンスがあたえられなければなりません。このことは、「子どもの権利条約」にも書かれています。子どもたちが教育を受けて成長することで、その社会全体が発展して豊かになります。教育こそが、より良い未来をつくるカギです。ユニセフは、だれも取り残すことなく、すべての子どもたちに質の高い教育を提供することをめざし、支援を届けています。

大切なまなびのスタート 就学前教育

幼稚園でまなぶアーシアさん
幼児期の体験や刺激がその後の発達に大きな影響をあたえるため、幼稚園などの就学前教育はとても大切です。ソマリアで就学前教育を受けている子どもはわずか2%。ユニセフは就学前教育を広める支援をしています。幼稚園で人形やボールをつかって楽しくまなぶ子どもたち。「幼稚園に早く来るのが好きなの。勉強だけじゃなく友だちとあそべるから」とアーシアちゃん。さまざまな体験を通じて、これからどんどん成長していきます。
教室であそぶ子どもたち

子どもが学習の中心に 子どもにやさしい学校

教室でクラスメートと笑顔を見せるシュシュミタ・ラーニさん(右)
「楽しくまなべるから、学校が大好きです」と7歳のシュシュミタさん。ユニセフが進める「子どもにやさしい学校」アプローチを取り入れたバングラデシュの首都ダッカにあるこの小学校は、子ども中心の参加型授業を重視し、それぞれの子どもの特性に合わせてまなび方や学習進度を工夫しています。小さな木の板やボトルキャップ、棒をつかって算数の勉強していたシュシュミタさんは、ときどき笑顔を見せながら、ひたむきにまなんでいます。
棒をつかって算数の勉強中

夢をかなえる針と糸 職業訓練校

ミシンのあつかいをまなぶ16歳のシアカさん
「ぼくには夢がある。自分の店を持ちたい」。当時16歳だったシアカさんは語りました。ブルキナファソの初等教育修了率は30%程度。読み書きや計算ができないと将来の選択肢は限られます。そんな子どもたちのために、ユニセフは、機械整備や溶接、建築といった技能を身につけられ、基礎的な教育も受けられる職業訓練校を支援。シアカさんはそこで洋裁をまなびました。21歳になった今では自分の仕立て屋さんを経営し、家族を支えています。
成人し家族を支えているシアカさん

言葉の壁をなくす 多言語教育

ベトナムの少数民族、モン族のヴァン・ティ・トゥ・ハさん
多民族国家のベトナム。公用語のベトナム語を話さない少数民族の子どもたちにとって、学校でまなぶには大きな〈言葉の壁〉がありました。ユニセフが支援する多言語教育プログラムでモン族の言葉とベトナム語の両方で勉強するハさん。今では学習コンクールで1位を取るまでになりました。「すべての少数民族の子どもたちが、小さいうちから自分の民族の言葉と公用語の両方で、教育を受けられるようになってほしい」。彼女の願いです。
生物の授業を受けるハさん

ソーラーラジオで遠隔学習 教育へのアクセス改善

ラジオから流れる教育番組をききながら真剣にノートを取るセリーナさん
アフリカ最大のスラム街、ケニアのキベラ地区 。2020年、新型コロナウイルス感染症が広がり、16歳のセリーナさんの学校は8カ月以上も休校になりました。ほとんどの家庭に電気が通っていない貧困地域で、ユニセフは太陽光発電式のソーラーラジオと学習教材を配布。4万人の子どもたちがラジオで教育番組をききながら自宅で学習できるようになりました。また付属のライトのおかげで夜でも勉強ができるようになりました。
ラジオ学習する子どもたち

思いっきりまなべるように 校舎の建設

新しくなった学校のトイレの前に立つ女の子
アフリカ大陸中央に位置するコンゴ民主共和国。長年続く紛争で校舎がこわされ、再開できずにいる学校がたくさんあります。教育が遅れると、子どもたちの将来に大きな影響が出ます。ユニセフは、学校をうしなった子どもたちがふたたび質の高い教育を受けられるよう、新しい教室とトイレを建設しました。校舎が完成するまでは仮設テントで勉強していた子どもたちも、ピカピカの教室にうれしそう。これからは思いっきり勉強できます。
ユニセフが新しく建設した小学校の教室

質の高い教育のために 教員養成

教員不足の小学校で授業を受ける子どもたち
中央アフリカ共和国では、長いあいだ紛争が続き、たくさんの人が避難を強いられています。もともと足りていなかった学校の先生たちが、避難先から戻れなくなってしまい、教員不足が加速しています。この小学校では、200人もの子どもがひとつの教室でまなんでいて、全校生徒は2300人以上です。子どもたちは午前と午後の半分ずつに分かれて授業を受けていますが、資格を持った先生はたった5人。ユニセフは、先生の不足をおぎなうため、保護者や地域の人々にも研修をおこなって、臨時教員を養成しています。

スポーツで変える未来 開発のためのスポーツ(S4D)

サッカー以外に週3日通学し、授業を受けるパスカリンさん
西アフリカのニジェールは、児童婚の割合が高く、女の子が社会で活躍するのがむずかしい国です。しかし中学校以上の教育を受けた女性は、児童婚をさせられる可能性が4分の1になります。学費が払えず小学校を中退した13歳のパスカリンさんは、ユニセフが支援するサッカーアカデミーの試験に合格。アカデミーでは学校の授業も受けられるので、サッカーに加えて中学校の勉強にも取り組んで、自分の未来を切りひらいています。
トロフィーをかかげるパスカリンさん