保健

今も何百万人もの子どもたちが、適切なケアさえあれば助かるはずの命をうしなっています。

ユニセフは、すべての子どもが、健康で、より良い人生のスタートを切ることができるよう、保健センターを拠点に、予防接種の普及、母乳育児の推進、栄養改善などの総合的な支援をおこなっています。

必要なとき すぐそばに 保健センター

保健センターで微量栄養素パウダーをもらったアブドゥルくん
地域にある保健センターは、家庭によりそい、子どもたちの命を守り成長を支える基礎的な保健医療サービスを提供しています。予防接種、発育観察、栄養不良やげりの予防と治療、母乳育児の推進、蚊帳の配布といったさまざまな活動を、保健センターが拠点となって展開しています。ユニセフは、子どもたちが必要なときに必要な治療やケアを受けられるよう、保健センターの設置を支援したり、遠方の地域や各家庭を訪問する地域保健員の育成をおこなったりすることで、子どもたちの健康を支えています。

草の根で広める 地域保健員

出産を無事に終え、母子ともに元気なのも地域保健員のナンシーさんのおかげです
西アフリカ、シエラレオネでは、肺炎やマラリア、げりが原因で5歳をむかえる前に命をうしなう子どもがたくさんいます。地域保健員のナンシーさんは村をまわり、栄養のとり方や母乳育児の大切さ、げりになったらどうすべきかなどの具体的な知識を伝えています。栄養不良の子どもを見つけたら、保健センターにとりついで治療してもらいます。ユニセフは人から人へ、子どもたちを守る知識を草の根で広める保健員の育成を進めています。
村で保健指導をしているナンシーさん

感染症から守る 予防接種の実施

エチオピアのティグライ州でおこなわれた予防接種キャンペーンでワクチン接種を受ける男の子
予防接種はユニセフの活動の中でも、もっとも成果をあげてきた活動のひとつです。予防接種のおかげで、毎年推計200〜300万人の子どもたちがジフテリアや破傷風、百日咳、はしかなどの感染症から守られています。干ばつによる食料不足で子どもたちの栄養不良が広がっていたエチオピアでも、ユニセフの支援により予防接種キャンペーンがおこなわれました。子どもたちの病気への抵抗力が下がる中、感染症流行の予防につながります。
予防接種用のワクチン

ワクチンの旅 コールドチェーン

マリの村の子どもたちにワクチンを届ける地域保健員のママドゥさん
ワクチンは製造元から各国の子どもたちへ届くまで、低温で保たなければなりません。そのため、ユニセフはワクチンを低温で運ぶための仕組み「コールドチェーン(低温物流システム)」を各国と協力してつくっています。電気のない地域で太陽光発電の冷蔵庫を設置したり、クーラーボックスに入れて船やオートバイ、ラクダやロバなどさまざまな手段をつかったりしながら、いくつもの中継地点をへて、ワクチンは子どもたちのもとへ届けられます。ユニセフは世界最大のワクチン供給機関として、これからもワクチンの調達や輸送をおこなっていきます。

若者から若者へ 性・リプロダクティブヘルスの教育

チャドで性やリプロダクティブヘルスの啓発活動をおこなうカヒジャさん
望まない妊娠によって、毎年、多くの10代の女の子たちが子育ての知識もないまま母親になり、学校をやめたり、差別にあったり、人生が大きく変わる経験をしています。ユニセフは、「性と生殖に関する健康(リプロダクティブヘルス)」を推進し、女の子たちの早すぎる妊娠などを予防するために、カヒジャさんのようなコミュニティで活動する若者と協力しながら、知識を広め、アドバイスをする活動をおこなっています 。
10代の女の子たちにアドバイスするカヒジャさん

日本発の技術で 蚊帳

防虫処理された蚊帳の中で赤ちゃんに母乳をあげるお母さん
子どもたちの命をおびやかす病気には、マラリアやデング熱、ジカ熱など蚊にさされることでかかってしまうものが多くあります。ユニセフが提供している蚊帳は、日本の企業が開発した技術をつかい、糸に防虫成分が練りこまれています。そのため、蚊帳の中に入れば蚊から守られ、安心して過ごすことができます。「蚊帳の中は安全だから、友だちとおしゃべりするときもつかうの!」と、南スーダンのニャイクさんは話します。
蚊帳の中でおしゃべりするニャイクさん

脱水のときは これ! 経口補水療法

ハイチの保健センターで経口補水塩のパックを受け取る子どもと母親
世界には、おなかをこわしたり、感染症で高い熱がでたりして脱水症状になり、命をうしなってしまう子どもたちがたくさんいます。そんなとき、経口補水塩を水にとかし、少しずつ飲むことで、激しいげりや嘔吐、発熱による脱水症から子どもたちの命を守ることができます。この飲みものは、経口補水塩がなくても、沸騰して冷ましたきれいな水1リットルに、塩小さじ半分と砂糖小さじ6杯をとかすだけでつくることができます。ユニセフは地域保健員を通して、人々にこのつくり方を伝えています。

母子の健康をみまもる 妊産婦の産前・産後健診

臨時船上病院に健診にきた生後7カ月のアリアニ―ちゃんとお母さん
5歳までに命をうしなう子どもの8割は、1歳未満の赤ちゃんです。保温や十分な栄養、感染症の予防によって減らすことができるものも少なくありません。ユニセフが支援する産前・産後ケアでは、難産のきざしや母親が予防接種を受けているかなども確かめながら、赤ちゃんとお母さんの命の守り方を伝えています。南米ベネズエラの生後7カ月のアリアニーちゃんと母親は、保健センターまで船で5~7日かかる地域に住んでいます。ユニセフは臨時に船上の病院を設置し、産前・産後のケアや予防接種をおこなえるように支援しています。